[名言]立川談志の教えはことごとく金言-立川談春『赤めだか』を読んで

4月 07, 2018


『赤めだか』を読んだ。

落語家・立川談春が真打になるまでの、師匠・立川談志との修行生活を描いたエッセイ。
「2008年の講談社エッセイ賞受賞作品」で、むちゃくちゃ面白かった。

読みながらたくさんの付箋を貼ったが、ほとんどが師匠・立川談志の言葉。
とくに弟子への教えはことごとく金言であった。


人間は寝ちゃいけない状況でも、眠きゃ寝る。酒を飲んじゃいけないと、わかっていてもつい飲んじゃう。夏休みの宿題は計画的にやった方があとで楽だとわかっていても、そうはいかない。八月末になって家族中が慌てだす。それを認めてやるのが落語だ。客席にいる周りの大人をよく見てみろ。昼間からこんなところで油を売ってるなんてロクなもんじゃねェヨ。でもな努力して皆偉くなるんなら誰も苦労はしない。努力したけど偉くならないから寄席に来てるんだ。

世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ

お前は俺に惚れて落語家になったんだろう。本気で惚れてる相手なら死ぬ気で尽くせ。サシで付き合って相手を喜ばせられないような奴が何百人という客を満足させられるわけがねェだろう。

よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。

たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える側なんだ。それくらいのプライドは持て。

お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えるんだ。それができない奴を正面が切れないと云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな。


自信がないと正面が切れない。ちゃんと自信を持って、正面を切れるようになるまでしっかりと稽古する必要があるんだろうなあ。


大きな声でしゃべれ。加減がわからないのなら怒鳴れ。怒鳴ってもメロディが崩れないように話せれば立派なもんだ。そうなるまで稽古をしろ。

あのなあ、師匠なんてものは、誉めてやるぐらいしか弟子にしてやれることはないのかもしれん、と思うことがあるんだ

先へ、次へと何かをつかもうとする人生を歩まない奴もいる。俺はそれを否定しない。芸人としての姿勢を考えれば正しいとは思わんがな。つつがなく生きる、ということに一生を費やすことを間違いだと誰が云えるんだ

やるなと云っても、やる奴はやる。やれと云ったところでやらん奴はやらん

昔ならともかく今は覚えるための教材も機械もたくさんある。だから下手な先輩に教わる必要はないんだ。名人のテープで覚えちまえばいい。

口伝を否定はしないが、教える側の都合にお前達の情熱を合わせる必要はないんだ。

教えてもらえないから前に進めないなんて、甘ったれるな。

己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。

現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいんだ。

俺は内容でお前達と接する。俺を抜いた、不要だと感じた奴は師匠と思わんでいい。呼ぶ必要もない。形式は優先しないのです。俺にヨイショする暇があるなら本の一冊も読め、映画の一本も観ろ。勿論芸の内容に関する疑問、質問ならいつでも、何でも答えてやるがな

あらゆる角度から考えてみたが……俺の方が上手い

現状を改善するには行動を起こすんだ。

覚えるのはかまわん。だが、それは芸ではない。覚えただけ、しゃべれるというだけなんだ。

これからお前達は世の中へ向かって落語を語り込んでゆくんだ。決して落語だけを愛する観客達の趣味の対象になるんじゃねェ。

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