さすが又吉。『火花』はつまらなくない、どころかむちゃくちゃおもしろい

2018年11月25日日曜日

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さすが又吉。『火花』はつまらなくない、どころかむちゃくちゃおもしろい

ピース・又吉の小説への期待と不安

ピース・又吉直樹が小説を書いた。
それを聞いたとき、僕はちょっと複雑な気持ちだった。
読んでみたい。が、おもしろくなかったらどうしよう。
僕は又吉のファンだった。
第2図書係補佐』を読み、そのあまりのおもしろさに一気にファンになった。
妻にも読むように勧めたら、妻もそのおもしろさにファンになった。
それから妻と二人で又吉のものを探した。
テレビに出ると知ればなるべく見た。昔やっていたというラジオのYoutubeを聞いた。
東京百景』は発売されるやいなや買い、読んだ。ウェブ上で連載されていたコラムも過去から遡り読んだ。
どれもおもしろかった。

そんな又吉が小説を書いたという。
もちろん読みたい。が、おもしろくなかったらどうしよう。これまでおもしろいとおもって読んできたエッセイの感じと違い、小説だからと気合が入りまくって変なことを書いていたらどうしよう。
と複雑な気持ちだった。

期待以上。『火花』はつまらなくない、どころかむちゃくちゃおもしろい

しかし、あの好きな又吉の小説だ。読まないわけにはいかない。
読み始めると、あれ、ちょっと難しいこと言おうとしてるのか?…と。しかしそのまま読み進めていくと、めちゃくちゃおもしろい。
ちょっと難しいこと言おうとしてるのか?と思ったのも最初だけで、あとはするする読める。
エッセイのほうで多分に発揮されていた「笑い」の部分もしっかり入っている。
そして芥川賞まで獲ってしまうのだから、さすがとしか言いようがない。

『火花』の主人公は漫才師。
あるイベントで出会った先輩漫才師に弟子入りを志願、行動を共にするようになる。
自分自身の漫才の道、先輩漫才師の漫才の道、相方との関係を描いてゆく。

『火花』は、僕がこれまでに読んだ中でも特別おもしろく、何度も読み返したい作品だ。

『火花』の中で好きなフレーズ


「今は、寄り添え。寄り添え?」と囁いて、神谷さんは少しはにかんだ。神谷さんは、普段使わない言葉を僕に釣られて使ってしまうことを恥じていた。その感覚も信用出来た。

空を見上げ「どのタイミングでやんどんねん。なあ?」と何度か僕に同意を求めた。喫茶店のマスターの好意を無下にしたくないという気持ちは理解出来る。だが、その想いを雨が降っていないのに傘を差すという行為に託すことが最善であると信じて疑わない純真さを、僕は憧憬と嫉妬と僅かな侮蔑が入り混じった感情で恐れながら愛するのである。

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