第155回芥川賞候補作『ジニのパズル』は日本生まれの朝鮮人で、今はアメリカの学校に通っている女の子の話

2019年1月3日木曜日

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ジニのパズル

『ジニのパズル』は第155回芥川賞の候補作品。受賞はしていない。
受賞したのは『コンビニ人間』。
この『コンビニ人間』も非常に面白そうな作品だ。

それでも『コンビニ人間』ではなく『ジニのパズル』を先に読もうと思ったのは、僕が少し天邪鬼な性格というのもあるが、日本生まれの朝鮮人でアメリカの学校に通っているという題材に惹かれまくったから。


日本の小学校に通ったあと、中学から朝鮮学校に通う。
まわりは以前から朝鮮学校に通っていた子たち。自分ひとり朝鮮語が話せない。
そうして始まる中学校生活。

「ジニはもちろん、まだ朝鮮学校に来たばかりで、私たちの言葉は出来ません。これからしばらくの間、ジニが朝鮮語を覚えるまでは、このクラスの授業は日本語で行います。みんなも早くジニが言葉を覚えられるように協力して、助けてあげて下さいね。分かりましたか?」
リャン先生がそう言うと、生徒たちは声を揃えて「イェー(はい)」と返事をした。何人かが、しらけた目で私を見た。私は思わず目を逸らして、顔を伏せた。

テポドンが発射された翌日、チマ・チョゴリ姿で登校する。

駅のホームでも車内でも、チマ・チョゴリを着た私への視線は非常に冷たいもので、いつ罵倒されて殴られてもおかしくないという緊迫した空気に包まれていた。
(中略)
駅に着くと、しばらくベンチに腰をかけ、自動販売機で買った水を一気飲みした。鞄を抱きかかえるようにして、チマ・チョゴリが出来るだけ隠れたらと願った。

そんな状況はいくらイマジネーションを働かせようと思ったって想像できない。

そういう複雑な境遇でのデリケートな人間関係や生活を生々しく感じ取ることができる作品だった。

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