万城目学『ザ・万歩計』の書評のようなもの

2019年1月5日土曜日

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万城目学『ザ・万歩計』

『ザ・万歩計』は、小説『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』などの著作で有名な作家・万城目学(まきめまなぶ)さんのエッセイ集。

子どものころのこと、学生時代のこと、職場でのことなどが、ときに笑えるほどおもしろおかしく、ときに涙が出そうになるほど感動的に、描かれている。
なんでもないように思えそうな日々のことも、有名な著作を持つ作家の方が書くと、こうも魅力的になるのかと感動した。

特に気に入ったのは、小説家になると決めたが何を書こうかと書きあぐねていたときに、書くべきものを見つける話。

僕は『鴨川ホルモー』も『鹿男あをによし』も読んだことがなかったが、絶対に読んでみたいと思う。
こんな魅力的にエッセイを書く方の小説なのだし、このエッセイに書かれていたように生まれた小説だ。おもしろくないはずがないだろう。

「客観的−そうキーワードは客観的なのだ。壁に向かう本人は、もうどうにもならないと思っているが、実は突破口はすぐそこにある。その手を、その足を、ほんの三十センチ動かせば、一気に次の突破口が開ける。なのに当人は気づかない。無理な体勢から壁を見上げ、狭い視野に移ったもののなかにばかり、解説策を見出そうとする」

書くべきものはいつだって、自分の目の前にあったのだ。なのに、人はその存在になかなか気づかない。捨て鉢になってふっきれたとき、ようやく気がつく。万太郎はワープロの脇に視線を向けた。二匹のオニが、辞書の上で相撲をとっていた。

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